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コラム

【院長コラム 第1回】

妊娠を考えたら、最初に整えたい栄養 ― 葉酸の本当の役割 ―

中曽産婦人科医院 院長の中曽です。
この院長コラムでは、妊娠・出産・女性の健康を支える「栄養」や美容などをテーマに、医学的根拠に基づいた情報を継続的にお伝えしていきます。

第1回は、妊活期から妊娠初期において特に重要な栄養素である葉酸についてお話しします。


■ 葉酸は「赤ちゃんの土台作り」を支える栄養素

葉酸は水溶性ビタミンB群の一種で、DNAやRNAの合成、細胞分裂、細胞再生に深く関与します。
妊娠初期には、赤ちゃんの脳や脊髄のもととなる神経管が形成されますが、この重要な時期に葉酸が不足すると、神経管閉鎖障害(二分脊椎、無脳症など)のリスクが高まることが分かっています。

葉酸を適切に摂取することで、これらの先天異常の発症リスクが約70%低下すると報告されています

Greenberg et al., 2017
Tola, 2024


■ 妊娠に気づいた時には「重要な時期」は始まっている

神経管が形成されるのは、妊娠4〜6週頃です。
しかし多くの方が妊娠に気づくのは5週以降であり、妊娠前から意識した摂取が、より効果的とされています

厚生労働省は、妊娠を希望する女性に対し、
妊娠1か月以上前から妊娠3か月まで、サプリメントで400µg/日の葉酸摂取を推奨しています。

一方で、葉酸の必要量や体内利用効率、妊娠初期の重要性を考慮すると、より積極的な補給が望ましい場合もあります。

葉酸は緑黄色野菜や豆類に多く含まれますが

  • 加熱調理で壊れやすい
  • 食品中の葉酸は体内利用効率が低い(約50%)

といった特徴があり、食事のみで必要量を安定して摂取するのは難しいのが現実です。
またつわりの時期と重なり十分な栄養補給ができないケースもあります。

Watanabe & Miyake, 2017
Swaroopa et al., 2020

そこで当院では、

  • 妊娠前〜妊娠12週頃:1日800µg
  • 妊娠中期以降:1日400µg

を一つの目安としてご案内しています。

当院採用している高濃度葉酸&ビタミンD配合のサプリメント
医療機関専売品です

※この設定は、厚労省推奨を否定するものではなく「個人差と現実的状況を踏まえた補完的指針」です※

■ 葉酸は妊娠初期だけの栄養ではありません

近年の研究では、妊娠中期〜後期の葉酸摂取が

  • 子どもの認知機能発達
  • 川崎病発症リスクの低下
  • 将来的な健康への影響

とも関連する可能性が報告されています。

葉酸は「妊娠初期だけ飲めばよい栄養素」ではなく、
妊娠期間を通して母体と赤ちゃんを支える基礎栄養です。

McNulty et al., 2019
Fukuda et al., 2023
Chen et al., 2023

■ 次回以降の院長コラムについて

今後のコラムでは、

  • ビタミンDと着床・免疫の関係
  • 鉄・亜鉛と子宮内膜環境
  • ミトコンドリアと卵子の質

など、妊娠に関わる栄養を一つずつ丁寧に解説していく予定です。

妊娠を考えている方、妊娠中の方が、
「正しい知識で安心して準備ができる」
そんなコラムを目指して続けていきます。