婦人科
GYNECOLOGY
月経前症候群
PMS
月経前症候群(PMS)とは、生理前に起こる身体的・精神的なトラブルのことです。
「生理の前はいつも調子が悪いけど、生理だから仕方ない」と諦めて生理前後の日々を過ごす方も多いですが、実はきちんと治療をすると、ずっと快適に生理前を暮らすことができるようになるのです。
月経前症候群とは
月経3〜10日前に周期的に起こる、日常生活に支障をきたすほどの不快な症状のことです。
月経が始まるとその症状のほとんどは軽減したり、なくなったりします。
生理のある女性に起こる症状なので、初経を迎えた10歳代から閉経を迎える50歳代の全ての女性に起こる可能性があります。
月経前症候群の症状
PMSでは、本当にいろいろな症状が見られますが、大きく分けると、身体の症状と心の症状に分けることができます。
それぞれ、主に下記のような症状があります。
| 身体症状 |
下腹部の張り、下腹部痛、腰痛、頭痛、乳房の張り・痛み、むくみ、便秘、肩こり、肌荒れ、食欲増進 |
|---|---|
| 精神症状 |
眠くなる、イライラ、怒りっぽさ、落ち着きがない、疲れやすい、気分の落ち込み、不安感、やる気が出ない |
精神症状が特に強く、怒りを我慢できずに他人を攻撃してしまったり、情緒不安定ですぐに涙が出たりするなど、日常生活や社会生活にまで影響が出るような場合は、単なるPMSではなく、精神疾患の一つである「月経前不快気分障害(PMDD)」の可能性があります。
著しい情緒不安定、苛立ち、自己否定感、不安感などを感じたりする場合は、精神科を受診してみると良いでしょう。
月経前症候群が起こる原因
PMSの原因は、まだはっきりとわかっていない部分もありますが、最も有力な説として、排卵を契機として、女性ホルモンのバランスが変わること、特に黄体ホルモンの変動が主な原因と考えられています。
その他にも、自律神経のバランスの乱れ、喫煙、アルコールの飲み過ぎ、マグネシウム不足などさまざまな要素が絡み合っている可能性があります。
月経前症候群の診断
PMSの診断基準のポイントは、以下2点です。
- 症状が生理のたびに繰り返し起こること
- 症状が現れるタイミングが生理前であり、かつ生理が始まったら症状が消える(もしくは軽くなる)
月経周期と症状の関係性が大切となりますので、手帳などにツラい症状があった日と生理の日をつけておくと良いでしょう。基礎体温を測ってみると、排卵がきちんとあるかどうかなども同時にわかるので、おすすめです。
またPMSと診断するためには、他の病気がないこと、そして排卵が正常にあることを確認することが必要です。子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科系の病気を始め、下垂体や甲状腺・副腎皮質など内分泌系の病気や貧血などの内科の病気を含め、他に症状が出る可能性のある病気がないことを確認した上で、PMSと診断されます。
治療方法
PMSは「診断がついたからすぐに何らかの治療が必要である」というタイプの病気ではありません。
PMSの症状があっても、患者さんご本人がお困りではない場合、そして患者さんが治療を希望しない場合は経過観察を行うこともあります。
治療を行う場合は、主に以下のような内容があります。
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カウンセリング
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生活指導(食事療法や運動療法など)
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薬物療法
- 生理を止める方法:現状、妊娠を希望されない方には主に低用量ピルなどを用います
- 症状を和らげる方法:症状そのものに対応する方法のことで、原因を解決しているわけではないので、一時的な解決方法に過ぎません
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漢方薬処方
セルフケア方法
PMSの症状を少しでも和らげるために普段の生活で簡単にできることがいくつかあります。ぜひ試してみてください。
- 規則的な生活
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規則的な生活は、女性ホルモンや神経伝達物質、そして自律神経のバランスを整えます。朝起きて太陽の光を浴びることは、メラトニンなど眠りにかかわるホルモンのリセットにも効果的であるとともに、うつ症状の改善にも効果があることがわかっています。
- 適度な運動
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ストレッチや軽いジョギングなどの有酸素運動は、血行を改善するとともに、PMSの症状を和らげるという報告が複数あります。
つらくない程度に軽いウォーキングやジョギング、ストレッチなどを行ってみましょう。 - バランスのとれた栄養摂取
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バランスのとれた栄養摂取は、PMSやPMSでよく見られる自律神経の乱れにも効果的です。
特に、ビタミン・ミネラルの豊富な食事を心がけましょう。栄養 豊富に含む食材 ビタミンA 豚肉、レバー、うなぎ、パセリ、抹茶など ビタミンE アーモンド、唐辛子、大豆、かぼちゃなど カルシウム 乳製品、大豆製品、モロヘイヤ、小松菜など マグネシウム 青のり、わかめ、ひじきなど - タバコ・アルコール・カフェインをひかえる
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タバコ・アルコール・カフェインの取りすぎもPMSにはあまりよくないことがわかっています。
特にタバコを吸っている方は、禁煙にトライしましょう。 - ストレス解消法を見つける
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PMSの症状にストレスが大きく関係していることがわかっています。
運動や映画鑑賞など、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。
婦人科を受診する目安
生理前の症状がツラいと感じる方は、一度婦人科を受診されてみてください。
ご自身でPMSだと思い込んでいる症状の裏柄に、実は子宮筋腫や子宮内膜症など別の病気が隠れている可能性もあります。
またPMSだった場合、治療をすれば症状が改善する可能性が高いので、日常生活をより楽に暮らすことができるようになりますよ。
PMSは、女性の方なら一度は経験したことがあるというくらいありふれたものではありますが、その反面、つらくても人に言えずに我慢していることが多い症状でもあります。
PMSだと思っていた症状の裏側に、実は別の病気が隠れていたというケースも多いので、生理前の症状がつらい方は、我慢せずに一度当院までご相談ください。